混ぜる教育

読んでおきたい本

立命館アジア太平洋大学APUの秘密

80カ国からの留学生が学ぶ大学、APU

異文化交流には2つの意味で興味があります。

1つは、自分自身が外資系の企業で以前働いていた際に、英語のスキルが1つの評価基準となり、TOEIC攻略に没頭しスコアアップする一方で、外国人役員の会議に参加すると、使える英語スキルになっていないことを痛感した経験に基づいたものです。

TOEICの攻略は、クイズ感覚で勉強すると楽しくできますが、外国人役員の英語をその場で理解し、受け答えするのは、とても大変なことでした。

なぜ受け答え(スピーク&リッスン)が大変なのか。

そこには異文化という壁があるからです。

 

英語と日本語という言葉の壁はもちろん、生活習慣や、アジアに対する考え方、仕事の仕方に、文化の違いを感じました。

ここが理解出来ていないと、英語が理解できたところで、本当に相手の言っていることの意味を汲み取ることができません。

コミュニケーション能力が必要になると知った時、異文化交流の難しさを知るとともに、興味が深まりました。

 

もう1つは、異文化交流は、対外国人という考え方だけではないと考えた時に、例えば、若年層と高齢者、障害者と健常者、上司と部下という、文化の違う層がどのように共存したらいいかという課題に、何か大きなヒントを持っているのではないかという考えからです。

 

APUという学生の半分が留学生で構成される大学について書かれた「混ぜる教育」には、異文化交流の課題解決のヒントについても、たくさん書かれています。

 

 

初年度から50カ国の留学生が学生の50%を構成

APUの開学は2000年。

認可が下りたのが1999年で、1年間で初年度の学生の半分に当たる400人強の外国人留学生を50カ国から集めたそうです。

トップのぶれない「決意」が達成を導いたと書いてありますが、並々ならぬ努力が想像されます。

現在は、6000人の学生のうち、3000人が80カ国の留学生。

教職員の半分も外国人です。

大分県の別府という場所で、外国人留学生がたくさん暮らしていることを、私はまったく知りませんでした。

 

80カ国と言うと、まったく知らない国もあるはずです。

それぞれの国の文化を知り、日本を知ってもらうための場として、APUはとても興味深い大学です。

 

 

企業と大学が混ざる場所

これほどの場を日本企業が興味を持たないはずもなく、留学生招致のための寄付金は41億円集まり、さらに日本企業が留学生を採用するなど、企業と大学が混ざる場所となっています。

大学が提供する、企業向けの短期留学プログラムもあります。

これが都会ではなく、大分の別府で行われているところも、とても興味深いです。

 

日本企業への就職だけでなく、留学生の中には、起業する人も出ています。

例えば、自国の教育環境を整えるための事業など、社会的意義のある起業につながっているようです。

こうした活動の1つ1つが、貧困や戦争の問題を解決して行くのではないかと、期待を込めて感じています。

 

異文化交流というと、その地域のお料理を作って食べたり、伝統文化を紹介するなど、表面的なものを想像しがちですが、一歩進んで、コミュニケーションにまで発展できるような活動が、もっともっと増えて行くといいなと思います。

そのためにも、まずは私たち一人一人が、異文化やコミュニケーションに対して、小さな学びから始めることが必要なのでしょう。

「混ぜる教育」が、世界をつなぐ社会活動として、この本をきっかけに広がりを見せることを期待したいです。

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