行政書士開業の10のポイント その9

行政書士はじめの一歩 第9回

ベネフィットを考えよう

ベネフィットとは「お客様にとっての価値」のことです。それは、「他の事務所より安くサービスを提供する」というような、お客様が自分のサービスを利用するメリットとは少し違い、「自分のサービスを利用することで、こんな素晴らしい未来が待っています!」という、サービスの先にある「価値」を示します。

お客様がどんなことにベネフィットを感じるのかを考える時、お客様が何に「悩み」、何を「解決したい」のかを知ることが大切です。お客様目線で考えることでベネフィットを知り、それを提供することが、お客様のためにもなり、集客にも繋がるのです。

ベネフィットが持つ「価値」は、商品、サービスの差別化にも繋がります。

今、士業の世界は価格競争に陥っていると言えるでしょう。5年前、10年前と比べ、報酬の額は二分の一、三分の一に落ち込んでいます。どの士業も同じような状況にあるため、他士業間でも仕事の奪い合いのような状況が見受けられます。この価格競争に巻き込まれないためには、自分の付加価値を上げるしかありません。

値段ではなく、あなたにお願いしたい!と言われるようにはどうしたらいいのか。そのためには、お客様のベネフィットを考えることが大切なのです。お客様に、他には無い価値を提供することで喜んでいただき、二度、三度と依頼していただいたり、別のお客様を紹介していただけるような流れにして行くことが、お客様のためにも、安定した売上に繋げ事業を継続させるためにも、重要と言えるでしょう。

例えば遺言書作成の場合、お客様が手にするベネフィットは何でしょうか?

 

遺言書のベネフィットを考える

遺言書の目的は色々考えられます。

・相続が発生した際に、財産の名義変更等を速やかに実行できる

・自分の意思で財産の分け方を決められる

・法定相続人以外の人に財産を与えることができる

それぞれの状況により、遺言書の目的は他にもたくさんあるでしょう。目的を達成するためには、法律を知ることももちろん大切ですが、それでは他の先生との違いがお客様には見えません。

「他の先生より安く遺言書を作成します」というメリットを示すのも1つの方法です。しかし本当にこの方法がお客様の満足度につながるかと言うと、高くても喜ばれる例がたくさんあるだけに、付加価値の探求をお勧めします。

お客様が本当に望むものは何か?

実はこれが何かは、お客様自身も分からない場合があるのです。

お客様が欲しいのは、公証役場で作る遺言書という名の書類でしょうか?お客様が本当に欲しいのは、自分が亡くなってから、ご自分の相続人が争わず、ご自分が築いた家や財産、お墓や仏壇を守ってもらい、幸せに暮らして行ってくれるという確信であり、この手続きを取っておけば大丈夫!という、安心ではないでしょうか。

これは実際にあった例ですが、同居している長男に自宅を相続したいという遺言書の作成を依頼され、他の2人の子供には何も相続しないとお客様から言われたことがありました。

この時、念のため遺留分のお話をして、その分を計算し、預金の一部を他の二人のお子さんにも相続する提案をしたところ、お客様にも、ご長男様にも大変喜ばれました。そんな方法があったとは知らなかったというお話でした。

さらに付言事項には、ご長男様が同居をされている現在、どのような介護をされているのか、今後お墓の管理等もお願いすることで何かと苦労をかけるという気持ちから、ご長男様へ多めに相続したい旨も書き添えました。

また、他の2人のお子さんへの愛情も忘れたことはなく、遺留分に当たる現金は相続したい旨を記載することで、単なる相続分の表記ではない遺言書を作ることが出来ました。

このお客様は今もお元気ですが、相続が発生した際には、責任をもって遺言執行に当たるつもりです。お客様の意思を実現するところまでをサービスとして提供することが、お客様の安心につながるようです。この安心こそが、遺言書作成の先にあるベネフィットだと私は確信しています。

行政書士に出来る仕事はたくさんあります。お客様の種類も千差万別、それぞれのベネフィットが存在するはずです。
自分にしか提供できないベネフィットを探し当てた時、付加価値のあるお客様満足度の高い事業として、売上にもつながって行くことでしょう。

さて、次回はいよいよ行政書士はじめの一歩最終回となります。
最終回は、事務所の継続を左右するとも言える「収入の考え方」についてお話します。
開業時に必要な開業届と青色申告承認申請についてもお話しますので、お楽しみに!!

 

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