トランプの箱を開ける
開業を決めた時、
1年がこんなにも長くて重いものになるとは、
考えてもいませんでした。
1年は365日。週で言うと、たったの52週。
トランプのカードの枚数と同じです。
例えるなら開業の日、
私は真新しいトランプの箱を手にしたのです。
開けたら最後、
トランプは1週間に1枚ずつ箱から消えて行きます。
そして1年後には、その箱は空になってしまうのです。
2箱目のトランプを手に出来るかどうかは、
1箱目のカードの使い方によるのでしょう。
たった52週という決められた時間を、
私はひたすら
「成功」という言葉に拘って過ごして来ました。
その「成功」が何を意味するのさえ分からないまま、
私は手にしたトランプの箱を開けてしまったのです。
手持ちの52枚のカードは、
何もしなくても毎週1枚ずつ無くなります。
1枚も無駄にしないと心に決め、
最初のカードを箱から引き出した私は、
ほんの少しの自信と、
大きな不安に包まれていました。