開業前夜
その夜のことを忘れることはないでしょう。
8月31日。
内装工事は終わったものの、
エアコンの取り付けが上手く行かず機能しないことで、
昼間の事務所は蒸し風呂状態でした。
私たち3人は夕方から事務所に集まり、
小さな扇風機を持ち込んで暑さを凌ぎながら、
Webサイトのオープンに向け、
最後の作業に取り組みました。
行政書士として開業を決めた私と、
一回り以上も年下のITエンジニアの2人。
この変わった組み合わせが生み出す
新しいサービスを想像しながら、
いつしか私たちは、
会社に頼らない、
自分自身で稼ぐ人生に憧れるようになりました。
不安はありながらも、
3人でアイデアを膨らませるにつれて、
きっと私たちにしか出来ない何かがあるはず!
と、希望的観測を止めることが出来なくなっていました。
その一歩として、
私が行政書士として9月1日に開業することに決まり、
ITエンジニアの2人には、Webサイトの制作や、
事務所のOA機器の配置やネットワークの設置を
お願いすることになったのです。
事務所の照明やスクリーン、プロジェクターや映像等、
すべてが自分のスマホで操作出来るようになりました。
スマホの操作画面には、事務所のロゴが映し出されます。
このこだわりは、
ヲタクと呼ばれるITエンジニアならではのものです。
このヲタク魂こそが、
これからの商品・サービスに
独創性を持たせるキーワードになると、
私はずっと以前から信じています。
この2人とだったら、きっと新しいことが出来る!
この想いが
私の独立を後押ししてくれたところもあるのでしょう。
9月1日は日曜日でしたが、
開業をその日に決めていたため、
Webサイトのオープンも、9月1日の0時と決めました。
私たちは8月31日の午後から事務所に集まり、
真夜中のWebサイトオープンに備えました。
それと同時に、
事務所のFacebookページも
オープンしようと考えていました。
ブログは開業準備中から毎日更新していたため、
ブログの中で事務所のWebサイトと
Facebookページのオープンを告知していました。
そのオープンの日が、いよいよ目前に迫ります。
事務所の110インチのスクリーンには、
映画「ソーシャルネットワーク」が映し出されました。
この日に3人で見ようと決めていました。
私たちの目標は、ザッカ―バーグでした。
ネットの世界からイノベーションを起こし、
大金を手に入れ、社会に還元する。
そんな未来が、私たちの理想です。
すべてはこの一歩から始まる。
そう信じていた私たちは、
真夜中のWebサイトのオープンを
単なる作業とは思えませんでした。
日付が9月1日になった瞬間
WebサイトとFBページをオープンさせると、
私は事務所の開業を知らせ、
行政書士としての活動を開始しました。
年明けのカウントダウンのように、
事務所とWebサイトのオープンを迎えたい。
そんな風に大袈裟に
事務所のスタートを考える人は少ないと思います。
でも私たちには、そうしたい理由がありました。