3人の出会い

 

私たち3人が出会ったのは、
偶然としか言いようがありません。

滅多に行かない会社の飲み会に私が参加したのは、
40歳を目前に控え、
「これからは、今までにやったことがないことをやってみよう!」
と、決意したからでした。

会社の飲み会に行かなかったのには理由がありました。

その頃の私の仕事は、
派遣スタッフの契約手続きや派遣先への請求業務など、
社内のあらゆる部署と関わりがあったため、
飲み会のような半プライベートの場に参加することで、
何か情報を漏らしているのではないかと、
あらぬ疑いをかけられたくないためでした。

実際、
入社直後に上司から疑いをもたれる出来事がありました。

それは、
ある派遣スタッフの女性と親しげに話していただけで、
その女性の派遣先である
経理部の情報を漏らしているのではないか、
という疑いでした。

上司は私の退社後、
私の机の引き出しの書類を毎日チェックしました。
「特定の派遣スタッフにこの情報を漏らさないこと!」
というメモ書きを残すこともありました。

ある日、私が親しく話をしていた女性スタッフが、
他のスタッフとの待遇の違いについて
苦情を言いに来た時、
上司が真っ先に疑ったのは私でした。
私がスタッフの待遇に関する情報を漏らしたと言うのです。

実は経理部に派遣されているスタッフたちは、
自分や他のスタッフの派遣料について
毎月経理処理を任されているため、
待遇の差については、どうしても分かってしまいます。

また、私が情報を漏らさなくても、
スタッフ同士で情報を共有しあえば、
時給の差などは、ある程度分かってしまうのです。

この出来事以来、
私は派遣スタッフと
個人的に話をしないことにしました。
食事会や飲み会など、一切断っているうちに、
誘われることもなくなりました。

そこから何年も月日は流れ、
上司も3、4人変わった頃、
派遣スタッフの女性から飲み会の誘いを受けたのです。
どうしても人数が足りないからと。

「これからは、今までにやったことがないことをやってみよう!」
と、決意した私は、
ここで一度参加してもいいかなと思いました。

その飲み会で知り合ったのが、エンジニアの1人だったのです。

その当時まだ20代だったエンジニアは、
仕事に不満を抱いていました。

彼は長時間残業の上、深夜の呼び出し、休日出勤と、
会社の隣にある寮に住んでいることをいいことに、
一日の大半を仕事に充てていました。
システムに携わる部署というのは、
どうしてもキツイ労働条件を強いられがちです。

その分、同期との繋がりが強くなるのか、
システム部門の社員たちは、
同期で飲みに行くことが多いようでした。

年齢が離れているにも関わらず、
私はこのエンジニアの同期の飲み会にも誘われました。
その席で、
もう1人のエンジニアとも知り合うことになります。

当時まだ20代前半だったこちらのエンジニアは、
仕事に不満を感じることもなく、
飄々と仕事をしていました。

3人ともお互いの素性をほとんど知りませんでしたが、
部署はまったく違っても、
会社という同じ建物内にいる安心感もあり、
社内システムやPC関連の知りたい情報について、
気軽に情報交換し合うようになります。

実は私は
20代の頃からPCやシステムに興味があり、
インターネットの流れについても、
自分で体験しながら、流行を追っていました。
ITの言語知識などはありませんが、
ソースを見たりするのは好きでした。
0と1で構成されたデジタルの世界にも
何故か学生の頃から興味があったのです。

そのため、世間的にヲタクと呼ばれる2人とも、
話を合わせることが出来たのだと思います。

この頃の私は、
独学で派遣スタッフの管理システムをAccessで作成し、
契約書や請求書等の帳票のアウトプットまで
自動化出来るようにしていました。

この管理システムは自主的に作成したもので、
周りの社員からすれば、
どうしてそんな余計な作業を増やすのか、
理解出来なかったようです。

作業の効率化を目指すと、
私の仕事はどんどん増えました。
効率を上げるためにシステム化や自動化に取り組むと、
その分の仕事がどうしても増えてしまうのです。

それでも私は、この作業が楽しく、
マクロや関数などの知識も増やして行きました。

特に40代に入った頃には、出世欲も出て来たため、
会社に求められている以上の成果を出したいと、
私はいつも考えていました。

この行動の先に独立開業があったのかもしれないと、
今になって実感しています。

2人のエンジニアたちも、
私のこの行動を何年も見て来たため、
Webサイトの制作だけでなく、
その後、2014年3月に一緒に会社を設立し、
保証のない世界に飛び込んでくれたのかもしれません。

開業前の私たち3人には、
ある共通の想いがありました。

それは、
「中間搾取のない世の中を作ること」です。

私は派遣業界で、
彼らはシステムの世界で、
何重にも中間搾取されるの様子を
日常的に見ていました。
何とかこの状態をなくせないないのか、
せめて自分たちは、そこから外れよう!と、
それぞれが独立に踏み切ることになります。

人は誰もが保守的で、
しかも、誰かの会社に所属して働くのが普通だと、
子供の頃から信じ込まされています。

郵便局が民営化されようが、
大手企業にリストラの嵐が吹き荒れようが、
寄らば大樹の陰は変わらないのです。

この風潮が、いつまで経っても自分の足で立ち、
自分の意思で動くことを阻止しているのではないかと、
私は思わずにはいられません。

保守的で保証された世の中を信じるのも1つですが、
保証されないけど夢のある世界もきっとあるはず。
選択肢を増やすことは、
幸せの数を増やすことだと思うのです。

私たち自身が自分の足で立てるようになって、
その経験を伝え、
周りをサポートできるようになりたい!
私たちはいつしか、
起業支援というキーワードに辿り着き、
ITと行政書士の組合わせに可能性を感じていました。

 

       

 

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